2020年 2月13日 改定
今回紹介するのはオールドスマグラーです
密造。それは法律にのっとって造っていないお酒。
一般的には悪い印象が持たれることが多いと思います。
でも、密造者達は当時のスコットランドでは英雄扱いされていたのです。
それには面白いエピソードがありました。
<オールドスマグラーとは>
1835年に創業した「J&Gストダート社」によって19世紀半ばに造られたブレンデッドウイスキーです。ちなみに創業者であるジェームズとジョージのストダート兄弟がブレンドしたウイスキーをシェリー樽で寝かせるという方法を始めたともいわれています。
<オールドスマグラーという名前の由来>
オールドスマグラー、つまり「老いぼれた密造者」と名付けたのは、当時姿を消しつつあった密造酒に対する郷愁の念と密造酒が正規のウイスキーより格段に優れ、美味だったということからです。密造酒はすでに過去になりつつあったものでしたが、だからこそ、思い出の品だったのでしょう。
<密造酒に関するエピソード>
ザ・グレンリベットでも少し触れましたが、スコッチの歴史は密造の歴史と深く関わっているのです。1707年にスコットランドがイングランドに併合されるとウイスキーに対してそれまでの15倍の税金を課したのです。理由は対仏戦争、植民地戦争の戦費を賄うというものでしたが、この異常とも思える政府の仕打ちに密造によって対抗したのがスペイサイドを中心とした誇り高いスコットランド人だったのです。ちなみにかつてスペイサイドには1000を超える密造所があったというのだからすごい話ですね。
偶然の産物?それとも必然?
皮肉なことに密造酒はウイスキーの品質を高め、しかも税金を払わないのだから正規の物よりはるかに安くなります。そのため人々の間に自然と流通するわけです。微税官につかまれば命を失いかねないスマグラーは民衆からは反抗心旺盛な英雄扱いされたのでした。
ちなみに麦芽の乾燥にピートを使い始めたのも密造者だったというのですから、スコッチの風味の決め手であるピーティさが誕生したのも密造酒があったからかもしれないと考えると何とも面白い話です。
歴史とは面白いものですね。
密造酒が政府に対する反骨精神から生まれ、その結果、ウイスキーは美味しくなり、その密造酒の一つであったザ・グレンリベットが政府公認になって今に至るのです。
正しいこととは何かを考えさせてくれるエピソードですね。
オールドスマグラーを飲みながら、正しいこととは何かを考えてみるのも一興かもしれません
もし見かけたら誇り高いスコットランド人たちに敬意を表した このお酒を味わってみてください。
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