今回紹介するのはサンクトガーレンです。
サンクトガーレンは神奈川県の厚木市にあるブルワリー(ビールの醸造所)です。このサンクトガーレンの醸造責任者の岩本伸久さんは日本人で初のクラフトビールを販売したたり、ビールの歴史を塗り替えるなど快挙だけでなく、とても波乱万丈な人生を歩んできた方なのです。
<クラフトビールが日本で造られるまでのエピソード>
日本が小規模醸造所を解禁していなかった1993年、岩本伸久さんの父である岩本光生さんが経営する飲茶店でビールづくりを始めました。
エールビールとの出会い
岩本光生さんはアメリカと日本で飲茶店をチェーン展開していたのですが、たまたま食事で入ったお店がブルーパブ(店内で醸造所が併設されている酒場)で店内でビールを造っている光景を見て衝撃を受けたのだそうです。自分のお店でもビールが造りたい。そう思った光生さんは日本で直営店の運営に携わっていた伸久さんを呼び出し、ビールを造るように言うのです。伸久さんは初めてサンフランシスコでエールビールを飲んだ時に「こんな美味しいビールを知らなかったなんて、今までの人生損していた!」と本気で思い、なぜ日本にはこんなビールがないのかと疑問に思ったのです。
立ちはだかる困難
たちまちエールビールに魅了された伸久さんは、エールビールの魅力を日本で広めたいという思いから日本でブルーパブを開きたいと考えます。ただ、そのころの日本では年間最低製造量が2000キロリットルという大手メーカーしか達成できない酒税法の規制があったのです。それでも諦めずに伸久さんは国税庁に陳情するのですが、日本では小規模醸造所は必要ないという回答が返ってくるのみでした。
日本で造れないのなら
伸久さんがすごかったのは、そこであきらめずにアメリカでビールを造り、日本で販売する逆輸入という手段にでるのです。そのためにまずはアメリカで醸造免許を取得。これが実はアジア人初の出来事でもあったのです。
そしてアメリカ人、ブルワーに指導してもらいエールビールづくりを学んだのです。
日本人に飲んでもらうための戦略
でも当時の日本のビールはラガービールのみだったので、まずはエールビールに馴染みのない日本人向けに味わい深さと爽やかな飲み口を兼ね備えたゴールデンエールを最初に造りました。
そして同時に六本木にブルーパブを開店して、アメリカから逆輸入したビールと規制対象外であるノンアルコールビールを醸造して販売するのです。
努力する人はかならず誰かが見ている
そんなこんなで、精力的に活動していた伸久さんに転機が訪れます。
「TIME」や「Newsweek」で記事に取り上げられるのです。そしてそこには「日本は、なぜ岩本に日本でビールを造らせないのか」とか「岩本のビールづくりの夢は叶った。ただしそれは日本ではなくアメリカで」など皮肉たっぷりの記事でした。そして日本の産業規制の象徴として取り上げられ、翌年の1994年についに世論と行政を動かし、最低製造量は60キロリットルに緩和。つまり、地ビールが解禁されたのです。
そして厚木市にビール工場をつくり、1997年に伸久さんは日本に戻ってきたのです。
<あきらめないことの大切さを知るエピソード>
八方ふさがりの状況に直面
当初は地ビールブームも追い風となりうまくいくのですが、国内の飲茶店はバブル崩壊のあおりを受けて深刻な経営難に陥ります。そしてブームも去ってしまいアメリカからの撤退、事業の整理も行うのですが、2000年に醸造免許の更新に必要な担保金が用意できず2001年にはついにビールが造れなくなってしまうのです。ですが、皮肉なことに伸久さんがビアコンペティションに出品したビールは全てが入賞するのです。
諦めきれなかったビールづくりへの情熱
ビール造りが行えなくなったことから、再び飲茶店の仕事をするのですが、どんどんビールを造りたいという気持ちが積もる日々。
そしてやはり自分にはビールしかないと気づいた伸久さんは税務署にビールをもう一度造らせてほしい。独立して会社を立ち上げ支払うべきものを少しずつ支払えるようにすると熱心にうったえ続けたのです。サンクトガーレンを立ち上げるのです。
そして2003年にサンクトガーレンでビールを造れるようになったのです。
気付いたアプローチの大切さ
とあるイベントをきっかけに中川美希さんと知り合います。美希さんはこのイベントの広報担当だったのですが、伸久さんは美希さんにインペリアルチョコレートスタウトというビールを造る予定であることを話したときに「バレンタイン向けに発売してみてはどうか」とのアドバイスを受けるのです。そして、美希さんと一緒に造ったインペリアルチョコレートスタウトはバレンタイン限定のチョコビールとして販売し、それがうけて、様々なメディアに取り上げられたのです。
そして気づくのです。まだまだ一般には受け入れられないと考えていた地ビールもアプローチの仕方次第で距離をぐっと縮めることができるのだと。
今のサンクトガーレンがあるのは色々な困難に立ち向かい続けることができたからなのですね。立ち向かい続けることができるのってすごいですね。
金賞を受賞した4種類のビールです。クリスマスなどのお祝い事にいかがでしょうか?
厚木は豚が有名でシロコロホルモンがB-1グランプリで優勝したこともあります。そんな厚木では豚肉の味噌漬けも有名なのです。こちらは味噌漬けとビールのセットです。
地場の物に地ビールなんて最高の組み合わせですよね。
参考サイト
https://www.sanktgallenbrewery.com/
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