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お酒のエピソードは面白い!ウイスキーや日本酒などこてっちゃんが気に入ったお酒の話を交えながら紹介していくブログです

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【日本酒】賛辞と中傷のはざまで!十四代【山形・高木酒造】

今回紹介する日本酒は十四代です。

 

創業は1615年、最初の頃は林業が家業だったのですが、米や紅花を運ぶ船主として財を成したことから造り酒屋も始めたのだそうです。

 

<十四代にまつわるエピソード> 

元々、代々の銘柄は「朝日鷹」で「十四代」は十四代当主である高木辰五郎さんが1960年ごろに古酒に名付けた名前でした。それが15代目蔵元の高木顕統さんが、自分が造ったお酒に十四代と名付けたいと提案して、今の十四代の銘柄になったのです。

 

<十四代の面白い話>

現社長である高木辰五郎氏がいうには、商標登録に本来は数字が通らないのだとか。ところが十三代、十四代、十五代を商標登録に出したところ、「としろ」か「とよしろ」と勘違いされたようで十四代だけ通ったと話しています。

 

<十四代 大ブレークの弊害>

この十四代がすごいのは純米酒や吟醸酒ではない、本醸造のお酒で安い、うまいを成し遂げていることです。だからこそ、今の十四代のプレミアム価格がついてしまっている現状に顕統さんは困惑ぎみなのだそうです。

 

人気のためについてしまうプレミアム価格

そもそも本醸造である本丸の希望小売価格一升瓶で2047円なのです(2011年情報)。十四代はたちまち人気となったため、品薄の状態が続いています。そのためネットで調べてみると3万円近くの値段がついているのです。

 

美味しく、適正の値段で飲んでほしいという願い

これらネットで売られている十四代は高木酒造さんと直接取引がないため、高額で売られても、高木酒造さんには利益が入らないのは勿論のこと、どこでどう渡り歩いてきたお酒かわからないため、品質を保られてきた保証もなく、味が劣化している場合もあるのを顕統さんは心配しています。その変質した十四代が本当の十四代と思われたくないというのは勿論のこと、実際にまずくて飲めないとクレームが入り、返品してきたものを見てみると、二年前に醸造された生酒だったこともあるのだとか。こういったクレームが後を絶たない状況なのだそうです。

 

どうしても造れる量には限界がある

十四代の生産量をこれ以上増やすと品質が保証できなくなるのだそうです。そのためどうしても品薄の状態になってしまいます。
高木酒造と特約している酒販店は50軒ほどです。十四代は置けば売れる酒なので、自分のお店に置きたい酒販店が多いです。また品薄なため飲んでみたいと考える日本酒ファンも多くいます。そういった状況から、十四代なんてもう古いどうせ買えないから他の蔵から酒を買うなど陰口をたたく人も後を絶たないという悲しい事実もあります。

 

<顕統さんの日本酒業界に与えた偉業> 

一般的な酒蔵

うちのブログではよく、蔵元と杜氏を兼ねている日本酒の話が出てくると思います。
それは今でこそ増えつつありますが、普通は杜氏に来てもらって、蔵元は口を出さないというのが日本酒業界では一般的なのです。

 

美味しさの影に過酷な挑戦有り

もともと、顕統さんも杜氏をやる予定はなかったのです。でも、今まで来ていた杜氏の方が高齢の為突然の引退が決まり、父である辰五郎さんに当時25歳であった顕統さんは杜氏ををやるように言われるのです。でも、今まで酒造りなんてやったことがない顕統さんです。早朝から深夜まで肉体労働をし、睡眠時間すらまとまって取れない。しかも失敗できないという心労まで重くのしかかってくるわけです。その壮絶さは体重が10キロ以上落ちて、急性胃炎にもなり高熱で入院してしまったほどでした。

 

若い杜氏が造る他のお酒にはない魅力

そんな苦労もありながら、なんとか完成させたお酒を東京に持ち込みます。そして見事好評を得るのです。なんせ25歳の杜氏がお酒を造っているなんて、ほとんどなかったわけです。素人同然とはいえ高齢者の杜氏が造るお酒にはない、斬新さ魅力に惚れていく店主が増えていきます。そしてあっという間に売り上げを伸ばすことに成功したのでした。この若者が造るお酒のサクセスストーリーは他の日本酒酒造にも影響を与え、新しい日本酒造りの時代が広がっていくのでした。


実は以前紹介した飛露喜の生みの親である、廣木健司さんも、自分と同じような境遇である顕統さんが造った本丸を飲んで、こんなに美味しいのに、大吟醸でもない本醸造!?そして一升瓶で二千円以下!?と(現在は税率が上がったので2000円を超えますが、当時は税込みで1950円だったのだそうです)衝撃を受けやる気に変えていたお酒なのです。

 

<顕統さんの日本酒に対する想い>

そんな顕統さんは愛と情熱の日本酒という本でこういっています。(鍵かっこの部分が引用)

「機械だからいけないとか、手作業だからいいというのではありません。美味しいと思える酒を造るために、できる限りのことをする。その志を忘れず、常に努力を続けるだけです」 

顕統さんのエピソードを知ってから、この言葉をきくと何か感じるものがあります。

 

 

どこかの居酒屋で十四代を見かけたら、今の日本酒業界に多大な影響を与えたこのお酒をぜひ一度飲んでみてください。

 

参考サイト

https://allabout.co.jp/gm/gc/225241/

 

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