今回紹介するのは屋守です。
屋守が誕生するまでには熱いエピソードがあったのです。
今回はいつもと違って長い記事ですが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
とても熱い気持ちになることは保証します。
<0からの始まり>
屋守の生みの親である4代目の田中孝治氏は家業を継ぐために実家に戻ったはいいものの、酒造りの知識がほとんどありませんでした。そこで知識を得るために広島の酒類総合研究所に3ヶ月間の講習を受けに行くことにします。酒類総合研究所で平孝酒造の平井浩治氏と運命的な出会いを果たします。平井さんとは3ヶ月間の講習中は同室であったため、ほとんど知識のなかった田中さんはわからないことを色々と教えてもらったのだそうです。3ヶ月の講習を終えて、実家の仕事の手伝いをしていると、愛知のお酒の「醸し人九平次」というお酒に出会います。お酒の事がわからないなりにも、こんなにおいしいお酒があるのだと感動したのだそうです。それをきっかけに地酒専門店の存在を初めて知ります(それまで知らなかったというのもすごい話ですね)
<屋守誕生エピソード>
お酒の勉強も兼ねて、専門店で買ったお酒を飲むたびに自分はどうすればいいのかと自問するようになります。その頃、研究所の講習で出会った同期の噂も聞こえてくるようになったのだそうです。その度に地方の蔵のお酒が東京に出てきて人に感動を与えている。それなのに東京にいる自分は何もできていないと、自分も本格的に酒造りに参入したいと気持ちにはなるが、どうすればいいかわからないと焦るばかりだったのだそうです。ですが、田中さんのすごかったところは、考えるだけで終わらずに、どうすればいいのかわからないというその気持ちを正直に話せたことでした。その話せた相手が講習中に同室だった平井さんだったのです。悶々としていたある日、平井さんに電話してみることにします。すると、これから石巻まで来るように言われたのです。そこですぐに行動に移し、石巻まで行った田中さんは、九平治さんへのあこがれ、自分の蔵の現状に気が付いたこと、何かをしなければだめになるということは感じていても、失敗することへの恐怖心。酒質を向上させて専門店と取引したいが、なにをすればいいのかわからない。東京から全国へうまい酒を届けたいがやり方がわからない。そういった、悩み、不安、などの自分の気持ち朝まで平井さんと話し合ったのでした。それを聞いた平井さんがアドバイスしたことは「とにかく丁寧に造ること」「品質を守る事」など基本を徹底することが大事だという話でした。
【突き動かすものは熱い思い】
石巻から東京へ帰る途中に先ほどまで話していた平井さんから「このまま帰ってはいけない。東京から全国へという思いを地場の酒屋にぶつけてから帰った方がいい。小山商店というお店を紹介するから今すぐ会いに行け」という電話でした。とはいえ、私服姿であった田中さんはさすがに「この格好ではまずいから、一度蔵へ帰ってから行く」と話しますが「お前が熱しやすくて冷めやすいのはよく知っている。だから、一度家へ帰ってしまったら、お前は絶対に小山さんのもとへ行かない。だから、このまま寄れ。だいたいな、思いを伝えに行くのに服装なんて関係ねえんだ!」(最高の日本酒 関東厳選ちどりあし酒蔵めぐりから引用)寝ずに帰郷した田中さんは、その足で小山商店へ向かいました。小山商店まで歩いて15分の距離の間でも平井さんから電話がありました。本当に向かっているか心配になっての電話です。小山さんに会って話している時にも電話は鳴り続けます。そこで小山さんが「よっぽどの電話なんだろうから出たほうがいい」ということから電話に出るとやはり平井さんからの電話で、「小山さんに変わってくれ」と言ったのだそうです。平井さんが小山さんに話を通してくれたのでした。「よし。わかった。それならオレも、お前の船に乗てやろう!」(最高の日本酒 関東厳選ちどりあし酒蔵めぐりから引用)ものすごい熱い話ですよね。この話を知った時に、こてっちゃんも心が動かされるのを感じました。
【酒造り改革】
その時の豊島屋酒造で造るメインのお酒は、金婚という本醸造のお酒でした。この蔵で大吟醸と同じぐらい手間をかけて純米酒を造りたいと思いをぶつけますが、経験が浅い田中さんの話は中々製造部門に響きません。百貨店の仕入れ担当者も東京のお酒というだけで中々話を聞いてもらえません。それでもあきらめずに説得を続け、なんとかお酒を造ることができました。できたお酒を小山商店の小山さんに試飲してもらいます。「まだまだ修正点はあるが酒質はいい」という言葉を貰い、売り出します。このお酒は3ヶ月程度で売り切れたのでした。
【2年目の酒造り】
この話は、このまま順風満帆に進んだわけではありませんでした。2年目の酒造りを終えて、小山さんにまた試飲してもらいに行きます。ところが「酒をラベルで買う人もいるが、うちはラベルで売るわけではない。あくまでもそのお酒がおいしいから買うんだよ。今年のこれでは正直どうかな」と言われてしまいます。ただ、田中さんがやはりすごかったのは、そこから奮起して酒米をまた仕入れて、一からお酒を造りなおしたのです。それを小山さんにもっていくと「こういうことだぞ」と言葉を貰い、屋守の酒造りは本格化されていくのでした。
<屋守の名前の由来>
このお酒は小山さんから新しいネーミングを考えたほうがいいとアドバイスを貰い考えられました。この新しいお酒は蔵の屋号を守るためのお酒、飲んでもらう方の家の繁栄を守る酒という願いも込めて屋守とかいて「おくのかみ」と読ませることにしたのです。そして裏のラベルにはヤモリのイラストが入っているのです。
|
このお酒を造った田中さんは、華やかすぎず、口当たりも軽めで日本酒の入口としても最適と言っています。そんなお酒を一度味わってみてはいかがでしょうか。
|
こちらは生原酒です。気になりましたらこちらもどうぞ
今回の記事はその熱い話を伝えることに重きを置いて、多分に「最高の日本酒 関東厳選ちどりあし酒蔵めぐり」から引用・参考にしております。興味のある方は下から購入をしてみてください。
|
参考サイト
下記のブログランキングに参加中です。 もし良かったらバナーをクリックしていただけると嬉しいです
その他のお酒ランキング
にほんブログ村