今回紹介するのは喜久醉です
杜氏である青島孝さんは蔵の仕事が嫌で家から出ようと思った結果、ニューヨーク暮らしでセレブな生活を送っていた人物でした。
<杜氏である青島孝さんのエピソード>
蔵の仕事が嫌だった
孝さんは子どもの頃から、両親が明け方から深夜まで忙しく動きまわって休日もなく働いているのに経営は苦しいこと感じ取っていました。その姿を見ていた孝さんは蔵を継ぐのが嫌だったそうです。
幸いなことに父である青島秀夫さんも継がなくていいと言ってくれていたので、まずは早稲田大学に進学し東京へ。
静岡から東京へ出てみると今度は世界が見えてきたのだそうです。見聞を広げようと世界放浪の旅に出たのですが、その数は八十数カ国にも及んだのだとか。
異文化を肌で感じたことから、グローバルな場で活躍したいという気持ちが徐々に芽生えたのだそうです。
セレブな生活から見えたものとは
大学卒業後は投資顧問会社に就職し、その後はニューヨークに渡ります。そして、休日にはカリブ海でヨットに乗ったり、カリフォルニアでワイナリーを巡るようなセレブな生活を謳歌するのですが、次第に自分は金儲けのために生きているのでは?と虚しさが募ってきたのだそうです。
あくまでお金を得ることは手段であって目的ではない。自分の存在意義や人生について思い悩んでいた時に手紙が届くのです。
見つけた答え。日本酒造りの道をゆく
内容は父が病で倒れた事、近況報告、そして品質のいい酒造りをしていることが書かれた新聞記事が一枚入っていただけで、決して帰って来いといった内容はなかったのだそうです。それまで、効率をとことん追求して短期間で大金を得ようとする仕事をしていた孝さんは、酒造りという地道な作業を続け人に喜んでもらう仕事の偉大さに気づいたのだそうです。自分が本当に大切だと思う事はお金で買えるものではなく、利益が少なくても誇りをもってもって働ける仕事だという事に気づき、日本酒造りの道に身を置くのでした。
もしかすると、自分の存在意義は、目を背けてきた所にこそあるのかもしれないですね。
<熱い農業者、松下さんのエピソード>
海外で気づいたこととは
実は松下さんも青島さん同様に、外国暮らしから様々な葛藤を経て、稲作の専業農家の道にたどり着いた人物です。
松下さんは、24歳の時に青年海外協力隊で野菜作りの技術指導のボランティアでアフリカまで行きました。ですが、教えに言ったつもりがほとんど教えられてばかりだったと語っています。
当たり前の事とはなんなのか?
豊さとは何か?生命とは何か?生きることの根源と向き合う体験をしたのだそうです。
松下さんがまず直面したのは、自分が今まで当たり前のようにやっていた農業の畑を耕す、肥料をあげるなどといった行為にもなぜそれをやるのか?と質問攻め、ここでは当たり前だと思っていたことが当たり前ではなかったのです。
そこでの人々は、その日の食料にありつければ幸せ。一日寝ていようが、遊んでいようが避難なんかされない生活を送っています。松下さんは初めの頃こそ、怠け者な人たちだと感じたのだそうですが、そんな生活をしていくうちにお金や物に左右されない生活をみて、本当の豊かさとは何だろうか?強さってなんだろうか?と感じるようになったのです。
海外で教えられたこと、それは日本の事すら知らない自分
アフリカでの生活では日本についての質問も多くありました。日本の事を聞かれても、日本の歴史や文化を説明できないことに気づき、いかに今まで何も考えずに生きてきたのかと落ち込んだのだそうです。
そして思うのです。自分の存在価値とは?生きる道とは?
青島さんと松下さんはなんだか対照的な暮らしを体験しているのに、同じ悩みに行きついたのですね~。なんて面白い話でしょうか。
松下さんと喜久醉の出会い
日本に帰国した松下さんは、農業の原点を探ろうと試行錯誤の毎日を送ります。作物を無理やり育てるのでなく自然に育つための環境を整える方法を探したのです。その結果、化学農薬に頼らず、不耕起栽培での稲作づくり(イネを育てる時、通常は田んぼを耕すのですが、全く耕さないでより自然に近い状態で育てる方法です)にたどり着いたのです。そして日本の文化である日本酒を造るための酒米づくりがしたいと夢を持つようになるのです。しかし肥料を買わない松下さんを農協は相手にしてくれませんでした。
そこで松下さんがやったことは静岡の日本酒を片っ端から飲み、喜久醉を知ります。そして、アポなしで蔵まで行き、アフリカで体験した話を3時間ほど青島秀夫さんにぶつけるのです。こうして、その熱い思いにほれ込んだ秀夫さんと一緒に山田錦を作ることになるのです。そして初めてつくった山田錦の収穫の日に孝さんと出会ったのです。
<喜久醉のエピソード>
現在の喜久醉は「人の幸せにつながる人生にしたい」という答えを出した孝さんが杜氏となって造られています。そして孝さんは言います。「飲む人を感動させるお酒とは感動を知っている人が造ったお酒」なのだと。この言葉には二人の今までの人生が込められている気がします。青島酒造さんのモットーは「安い酒こそ丁寧に作れ」です。このモットーのもと、人に味わってもらいやすいように、味と関係ない部分の経費を削って日夜努力しているのです。それはきっと「人の幸せにつながる人生にしたい」という想いを持っている人が造っているからこそできることなのでしょう。
このお酒は特別本醸造で1100円です。dancyuという雑誌の平成15年3月号での「毎日でも飲みたい日本酒」という特集でダントツの1位に輝くのです。「安い酒こそ丁寧に作れ」のモットーを体現した、とてもコストパフォーマンスに優れているお酒です。
こちらは松下さんが有機栽培で造られた山田錦で醸された純米吟醸酒です。生産量が少ないため値段がお高めですのでお正月などのお祝い時、あるいは贈答用にどうでしょうか?
こちらは特別純米酒です。値段も1436円とかなりお手頃価格になっています。純米酒でこの値段はやはり安いですね。
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