【日本酒】まさにプロの仕事！不動【千葉・鍋店株式会社】

今回紹介するお酒は不動です。

不動とは鍋店（なべだな）株式会社で造られている日本酒で、「自分たちの力で個性のあるお酒を造りたい」という思いから生まれたお酒です。

＜不動の酒蔵、鍋店（なべだな）の由来＞

鍋店の由来は江戸時に銀座や金座などの座のひとつに鍋座というものがありました。有事の際に必要な武器をつくるために鉄類は大変重要な資源だったのですが、その生造権利を信用できる家柄に与えていた称号が鍋座だったのです。その鍋店を幕府から与えられていたこと。１６８９年に醸造を開始し、当時は老舗のことをお店（たな）と呼んでいたことから、鍋と店の２文字を結び付けたことから呼ぶようになったのです。

＜不動：ピンチをチャンスに変えたエピソード＞

大塚さんが蔵に戻った当時の背景

現在当主である大塚完さんが蔵を継いだのは１９９３年でした。ちょうど日本酒が売れていた時代が終わり、大手スーパーが価格破壊を推進したことから流通に大きな変化生まれ、売り上げは減り、生産も減らさなくてはならなくなっていった時代でした。

大塚さんが取り組んだ改革

そこで今まで杜氏や蔵人に任せてお酒造りを行ってきていた鍋店さんでしたが、１９９７年に、いい酒を造り流通機構に頼るのではなく、いい酒を求める専門店をターゲットに社員による酒造りを始めたのです。

また、自分たちの酒を知ってもらうために酒蔵祭りを始めたのですが、現在では毎年３月に仁勇蔵祭りを寺田本家と行うまでになっています。そして、一日に４、５万人の来場があるというのだから本当にすごいことですね。

＜不動：誕生までのエピソード＞

社員による酒造りを始めて８年後に、元々代表銘柄で合った伝来に変わる銘柄を造ろうということから不動の開発が始まります。
最初は綺麗な味の酒を目指して、毎年工夫を重ねていくと、綺麗だけではダメと感じ始めたのだそうです。そして、口に含むとインパクトや爽快感のある綺麗な酒が不動の定番銘柄となっていったのです。

＜不動（鍋店の日本酒）の特徴＞

そんな鍋店さんですが、食べ物に合う酒造りが大切だと考えている理由から、様々な酒造りに取り組んでいるのです。
特に酸味に注目して、酸味の高い日本酒を多く造っているのも特徴です。
というのも酸味が高いと肉類や脂っこい食べ物、辛い食べ物にあうお酒になるのです。最近ではフランスで餃子とシャンパンの組み合わせが流行っていたりもします。
そういった背景から最近の日本酒は酸味に注目している酒蔵さんが多くなっているのですね。

＜鍋店の酒造りへのこだわり＞

鍋店さんでは、一定以上のレベルを考えると手作業でないとできないという考えから、特に麹米を作る工程の手作業にこだわりをもって作業されています。すると、目で見たり、手で触った感触で麹の状態が分かってくるようになってくるのだそうです。
よりよい麹が強い酵母を育て、うまい酒を醸すようになるという考えの元、麹づくりが何より大切と考え、原料米の処理、水分量の測り、蒸す前に含ますための時間をきっちりと管理しているのです。
米はその年によって状態が違うので、その年によって糖化が進みやすかったり、進みにくかったりするので状態の見極めがしっかりできることで、適切な作業が行えるというわけなのです。

＜ヨーロッパにおける不動の人気＞

ヨーロッパにおける日本酒の最大の市場はイギリスで、フランスでは最近フランス人によるフランス人のための「ＫＵＲＡ　ＭＡＳＴＥＲ」というコンクールが開かれるのですが、不動純米吟醸と不動特別純米がプラチナ賞を獲得しているのです。

＜特に人気な不動シリーズ＞

不動のなかで特に人気なのが「吊るししぼり」です。
この「不動吊るししぼり」は醪（もろみ）を搾る段階で普通は機械を使うところ、機械を使わずに醪を布の袋に小分けにして、搾るわけではなく、ぽたぽたと自然に落ちる酒を酌んだものなのです。自然に「ぽたぽた」落ちたものという響きだけで美味しそうと思わせてしまうのですから、すごいですね。

不動（ふどう）　吊るししぼり　純米吟醸無濾過生原酒　720ml