2020年 6月 4日 改定
今回紹介するウイスキーはオルトモアです。
オルトモアは熟した果実のような風味から、テリーヌやパテなどのオードブルと飲みたいお酒で、食欲を刺激する第一級の食前酒と「モルトウイスキー大全」は紹介されているウイスキーです。
<オルトモアとは>
オルトモアとは大きな小川の意味で蒸留所近くに流れているオーヒンデラン川から名づけられました。アメリカでのスコッチの代名詞でもあるデュワーズのキーモルトの一つでもあります。
<廃棄処理のパイオニアについてのエピソード>
搾りかすと残留液の問題点
糖液抽出後のマッシュタンの搾りかすとウォッシュ蒸留後のポットスチル内の残留廃液の処理は、環境汚染の問題も含めて長い間、問題になっていました。どちらも栄養価が高く家畜に与えたりもしていましたが、輸送や貯蔵面で効率が悪く処理しきれていなかったのです。
問題に対する一つの解答
オルトモア蒸留所は1952年に搾りかすと残留廃液を乾燥・圧縮しペレット状の飼料であるダークグレインを開発することで、貯蔵と輸送が容易になりました。つまりダークグレインを開発することで、問題点であった貯蔵と輸送面の両方を解決することができたというわけです。
オルトモア蒸留所がパイオニアと呼ばれる理由
さて、このダークグレインは本当に効率が良かったのですね。
これが開発されてからというものの、ほとんどの蒸留所でダークグレインの製造工場を併設するか、グループ蒸留所での共有の工場を建てるかのどちらかの方法がとられるようになったというのです。ゴミを有効活用して無駄を省くことでコストの削減にもつながっているのでしょう。ウイスキー業界を変えてしまう出来事にまでなっているというのがすごい話です。
どんなことでもトップクラスになるには、問題点に対して工夫を考え続けていることが大事なのだなと実感できるエピソードでした。
ちなみに、ダークグレインは牧草が少ない、冬場には貴重な資料となっているのです。
<オルトモア蒸留所について>
オルトモア蒸留所は1895年にベンリネスやダラスドゥー蒸留所を建てたアレクサンダー・エドワードによって創業され、現在はバカルディ社の傘下に入っています。ちなみに蒸留所の場所を決めた理由が、密造酒のメッカだったからという理由なのが面白いです。
なんで密造がしやすかったのかというと、周辺が泥炭地で、ピートと両水に恵まれていたことからウイスキー造りに適した環境だったというわけなのです。
仕込み水も密造者が使っていた、フォギー・モスという泉から現在も利用しています。
本当にスコッチウイスキーと密造の関係は切っても切れない関係なのですね。
こちらはオルトモア12年です。
オルトモアはもともとブレンダーからは評価が高く、ブレンド用に使われることが多いため知名度は決して高くありませんが、知る人ぞ知る完成度の高いシングルモルトのひとつです。ぜひ見かけたら試してみてください。
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