2020年 5月31日 改定
今回紹介するのはミドルトン・ベリー・レアです。
1984年から毎年少量ボトリングされるイヤーブレンドのアイリッシュの最高峰と呼ばれるウイスキーです。ラベルにかかれている年は通常は蒸留された年が書かれますが、このミドルトン・ベリー・レアはボトリングされた年が書かれている、ちょっと変わったアイリッシュウイスキーです。
<ミドルトン・ベリー・レアとは>
ミドルトン・ベリー・レアとは毎年熟成樽の中から厳選された50樽の中からボトリングされているアイリッシュウイスキーです。これはウイスキーの樽ごとに同じ熟成年数でも、熟成に違いがでてきてしまうことから、その年の最もいい樽を厳選してブレンドすることで最高品質のアイリッシュウイスキーを生み出しているのです。つまり、ミドルトン蒸留所でその年にしかできない、最高品質のウイスキーがこのミドルトン・ベリーレアなのです。
後述しますが、世界最大のポットスチルを持ち、ほとんどのアイリッシュウイスキーをこのミドルトン蒸留所で造っているからこそ、できることなのでしょう。
<ミドルトン蒸留所の歴史>
元々、ミドルトン蒸留所が建てられたのは1825年のことで、ジェームズとダニエルとジェレミッシュのマーフィー3兄弟が創業しました。後に、コークにある他の4つの蒸留所と合併してコークディステラリーズ社を設立しますが、第一次、第二次世界大戦、アイルランドの独立戦争、アメリカの禁酒法という苦難の連続をなんとか耐え抜き、1966年に、ジェムソンやパワーズ、タラモアなどと合併してIDC社(後のIDG社)が誕生しました。
その時にスコッチに対抗するために、巨大な複合蒸留所の新たな建設を決断したのです。そして、1975年に旧ミドルトン蒸留所の背後に現在の新ミドルトン蒸留所を完成させるのです。
<世界でもっとも複雑な蒸留所と呼ばれるわけ>
さて、この新ミドルトン蒸留所ですが、「世界でもっとも複雑な蒸留所」とも呼ばれている蒸留所です。
なぜそう呼ばれるのかというと、ピュアポットスチル(モルトと未発芽の大麦の両方の麦汁から造られるアイリッシュウイスキー典型の造り方)とモルトウイスキーをつくる単式蒸留器が4基、グレーンウイスキーをつくる連続式蒸留器が2セット備え付けられています。この蒸留器たちで、なんと原料の比率や蒸留方法を変えて数十の原酒タイプをつくり分けているというのだから、その複雑さにはただ驚くばかりです。
現在では「ジェムソン」「パワーズ」「パディー」「タラモアデュー」「レッドブレスト」などほとんどすべてのブランドが、この蒸留所で造られているのです。
このお酒の面白いところは、毎年味が変わるということです。自分の生まれた年の物に巡り合い、このお酒で誕生日など大切な時間を祝えたら最高ですね。
年代ごとに飲み比べても面白いウイスキーでもあります。
まさに一期一会のお酒ですね。
是非、見かけたら至高のアイリッシュであるミドルトン・ベリー・レアを味わってみてください。
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