2020年 5月5日 改定
今回紹介する日本酒は仙禽(せんきん)です。
この仙禽は栃木県で造られる日本酒なのですが、日本の食文化に合わせて造られる原料米をドメーヌ化にも成功している革新的な日本酒なのです。
<仙禽の意味>
仙禽の意味は「仙人の住む清らかな地の鶴(禽)」という意味があります。
そのこともありシンボルマークは鶴の色を集めたマークになっているのですが、この色にも、赤には愛情、白には伝統、黒には革新という意味が込められています。
そのすべてがつながりあって唯一無二の物が生まれるという想いが込められているのです。
<ソムリエからの転向、運命の日本酒>
11代目蔵元の薄井一樹さんは元々ソムリエをしていた方です。ソムリエの勉強として、日本酒やビールを飲んでいると、「飛露喜」という日本酒と運命的な出会いを果たします。この飛露喜を飲んだ時に、日本酒ってこんなにも美味しいのかと衝撃を受けたのだそうです。そして、同時に「なんでうちの実家で造るお酒は美味しくないんだ」とも思ったのだそうです(笑)
そんなこともあり、経営難だった実家に帰ることになったのです。
<仙禽は、ソムリエならではの発想から生まれた>
常識に反する酸味と甘みの活用
薄井一樹さんが戻った当初の株式会社せんきんは、造った日本酒の八割は桶売りをしていたのですが、突如、契約を切られてしまい苦境の中にいました。そして銀行からも見放され、営業で回っていた酒飯店にも「お前の所の酒はまずいからな~」などとも言われている現状です。
このままではマズイと、一樹さんは日本酒のそれまでの常識ではありえなかった酸味と甘み全面に押し出した日本酒造りをすることにしたのです。この背景にはドイツやアルザスのワインが好きで酸味と甘みに惹かれていたことに関係しているのです。
もちろん、これにはちゃんと勝算がありました。現代の日本の食文化は脂っこいものや肉類が多くなってきています。それらの食べ物と酸味は相性が抜群なのです。
それらの考えを頭の中で設計し、醸造学を学んだことがない中で造ってみると成功したというのだから運も良かったのでしょう。ただ、当時の日本酒は淡麗辛口のお酒が主流で、酸味や甘みが出ると下手くそと言われた時代だったので、日本酒の玄人である父親をはじめ、同業者からは受け入れられなかったのでした。
ですが、若い女性達には受け入れられるのです。
ハイテクからローテクへ
ソムリエならではの発想はそれだけではありませんでした。
テロワール(気候、風土)に根差した日本酒造りの模索から自社で買ったり、契約した田んぼで原料米を作るドメーヌ化。それも蔵で用いる仕込み水と同じ水脈の上にある田んぼで米を作るというこだわりようです。
「テロワールについては下の記事でも書いています」
また、蔵付きの酵母だけでお酒を造る昔ながらの生酛造りと個性の追求を図ります。
酒の個性を決めるのは微生物の力で、微生物が本来の力を発揮できるように、できるだけ人の手をかけて、丁寧に昔ながらの手法でお酒の完成の手伝いをするという考えの元からきています。
こういったこだわりは徐々に評価されていき、仙禽株式会社せんきんは立て直します。そして、従業員にボーナスを払えるどころか、修繕と設備投資にまでできるようになったのでした。
<仙禽の種類>
仙禽の種類には通年のシリーズで
・完全に無添加のナチュールシリーズ。
・酸味と甘みを押し出したモダンシリーズ。
・古くて新しいクラシックシリーズ。
・上質なプレミアムシリーズがあります。
このシリーズ名もどことなくソムリエならではという印象を受けるのですが、それ以外にも季節限定のシリーズがあるのです。
・春にはさくら
・夏にはかぶとむし
・秋には赤とんぼ
・冬には雪だるま
です。
季節限定のシリーズは、日本らしさを感じて通年のシリーズとのギャップがまたいいですね。
こちらの仙禽は酸味と甘みにこだわったモダンシリーズの仙禽です。
仙禽は日本酒の革命児とも呼ばれるお酒です。見かけたら一度味わってみてくださいね
参考サイト
http://senkin.co.jp/
https://www.oborosaketen.com/theme877.html
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