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【日本酒】大切なことは人の数だけある!誉池月【島根・池月酒造】

今回紹介する日本酒は誉池月です。

 

<誉池月のエピソード>

普通種からの脱却

現在の杜氏である末田誠一さんが蔵に入ったころの池月酒造の造っていた日本酒のほとんどは普通酒で、その占める割合は8割を超えていました。その上、普通酒の中でも三増酒がメインだったのです。

※三増酒についてはこちらの記事を参考にしてください
純米酒はなぜ少ないのか?そもそも純米酒とは何か? - BAR こてっちゃん

この三増酒に見切りをつけるかどうかは経営戦略の岐路となる大切な選択なのです。
酒の売れ行きは地元がほとんどで過疎状況から見ても自滅を待つだけと言う状況だったことから、末田さんは普通酒からの脱却を決心したのです。

 

人それぞれ大切なことは違う

ですが、当時陣頭指揮をとっていた代司と呼ばれる副杜氏格の蔵人が純米酒や吟醸酒へのシフトを認めませんでした。
というのも、地元で愛され消費されなくなったら地酒の意味がないとの考えから、地元に愛されている今の普通酒、つまり地元で愛される酒造りが必要との考えていたのです。
もちろん末田さんも地元密着の酒造りに大賛成だったのですが、このままでは、世の酒造りから置いてけぼりを食らってしまい、誉池月がなくなってしまうという危機感からの考えだったのです。そのことから新しい酒造りを訴え続けたのです。

 

訪れた危機、そしてチャンス

そんな状況だった池月酒造さんでしたが、当時の杜氏や代司、その他蔵人たちが高齢やケガなどの理由で次々と引退されることになってしまいました。そして残ったのは末田さんただ一人。
そこからハローワークでなんとか一人を見つけ、また島根大学の醸造を勉強した学生の希望者が見つかり、3人態勢の酒造りが始まるのでした。

 

新しい道を模索する

とはいえ、酒造りを知っているのは末田さんただ一人、それも今まで普通酒メインで造ってきたのです。いざ普通酒から脱却して純米酒を造ってみようとしても、今まで普通酒をメインで造ってきたから勝手が違います。純米酒ベースにするには色々と戸惑いもあったのです。
洗米から搾りまでのデータを分析し、引退された杜氏に電話して質問し、時には他の蔵の杜氏にも話を聞き、徐々に普通酒から脱却していき、現在では普通酒はあるものの、三増酒は消えて、特定名称種がメインになるまでになったのでした。

 

池月酒造にとって大切なこと

この新しい道の模索が成功して、現在では県外からも人気が出てきています。
ですが、一番大切にしていることは「地元で愛され消費されなくなったら地酒の意味がない」という考え。どんなに有名な酒販店から声を掛けていただいても、地元で飲んでもらう分はちゃんと確保しているのです。
この新しい誉池月ですが、地元の方達に愛されるよう心掛けたこともよかったのでしょう。地元の方にも評判がいいお酒となっているのです。

 

<誉池月の由来>

その昔、池月という源頼朝の愛馬になった馬がいました。
池月の母馬は池に落ちて命を落としてしまうのですが、その母をしのんで池にやってきた池月は、月の光によって池に映し出された自分の姿を母だと想い、飛び込んでいたのです。ですが、飛び込むと母だと思い込んだその姿は波紋となって消えてしまうのです。しかし、土手に上がり池を見ると、母の姿が・・・
こうして池月は毎晩繰り返して池に飛び込んだのでした。

この話が広がり泳ぎのうまい馬がいるという噂を聞きつけた源頼朝は、水際の戦いで役に立つと、池月酒造のある阿須那の賀茂神社で行われていた牛馬市のセリに出ていた池月を買っていったのだそうです。
こうして源頼朝は宇治川の合戦で愛馬の池月とともに先陣を切るのですが、池月は他の馬より速く川を泳ぎ活躍したのです。

この物語が誉池月の名前の由来になったのでした。
ちなみに池月の話は諸説あるようですが、この物語は平家物語にも記されています。

 

この「誉池月 純米 山田錦 無濾過 生原酒」は開けたてはもちろん美味しいのですが、冷蔵庫で二日ほど寝かせてから飲むと味の幅が広がり、また違った側面も楽しめて面白いですよ

 

 

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